Vine Linuxのグラフィカルユーザインターフェース はじめに Vine Linuxでは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の基礎としてX Window Systemの実装の一つであるX.Org Foundationのプロダクトを採用し、その上で動作するデスクトップ環境としてGNOMEを採用しています。 X Window Systemの概念について知りたい方は、Linux JF (Japanese FAQ) Projectによって翻訳されたX Window System Architecture Overview HOWTOが参考になります。(この文書のplain text版が、/usr/share/doc/JF/XWindow-User-HOWTO.txt.gzにインストールされています。) X Window Systemは、特定のデスクトップ環境との組合せに縛られる事なく、GNOME以外にも他のデスクトップ環境やウィンドウマネージャと呼ばれる物と組み合わせる事が可能です。詳細は、を御覧ください。 標準デスクトップ環境GNOME GNOMEとは GNU Network Object Model Environmentの略で、「グ・ノーム」と読みます。GNOMEは、完全でフリーな使いやすいデスクトップ環境をユーザに提供し、同時に強力なアプリケーション開発フレームワークをソフトウェア開発者に提供する事を目的として現在も開発が続けられています。GNOMEの公式サイトは、GNOME: The Free Software Desktop Projectです。また、日本GNOMEユーザー会によって、日本語で投稿可能なメーリングリストや翻訳文書などが提供されています。 以下、画面構成、共通的なウィンドウの操作方法などについて説明しますが、マウスの操作に関する用語は以下の様に統一しますので確認しておいてください。 マウスの操作 クリック マウスのボタンを1回押してすぐに離します。単にクリックと言う場合は、左ボタンのクリックを指します。 ダブルクリック マウスのボタンを連続して2回クリックします。単にダブルクリックと言う場合は、左ボタンのダブルクリックを指します。 中クリック マウスの中ボタンをクリックします。ホーイルマウスをお使いの場合は、ホーイルをクリックします。2ボタンマウスをお使いで3ボタンマウスのエミュレーションを有効にしている場合は、左と右のボタンを同時にクリックすることで同様の効果が得られます。 右クリック マウスの右ボタンをクリックします。多くの場合、コンテキストメニューと呼ばれるメニューが表示されます。 ドラッグ マウスのボタンを押したまま、マウスを移動します。単にドラッグと言う場合は、左ボタンによるドラッグを指します。
画面構成 パネル 画面の上下に表れる細いバーは、パネルと言います。インストール当初のパネルには以下の様なメニューやランチャなどがあります。これらの配置や新たなランチャの追加は、パネル上やランチャなどを右クリックして表示されるコンテキストメニューにより変更可能です。 上部パネル メニューバー アプリケーションや設定ツールなどを起動するためのアプリケーションメニュー、ファイルの検索やスクリーンショットの撮影、ログアウトなどを実行するためのアクションメニューが納められています。 ランチャ 対応するアプリケーションを起動するためのアイコンです。インストール当初の設定では、GNOME端末やFirefoxなどを起動するランチャが並んでいます。 ワイヤレス接続モニタ このユーティリティはラップトップのワイヤレス接続の状態を表示します。 時計 現在の時刻と日付を表示する時計です。クリックするとカレンダが表示されます。 ボリューム・コントロール このボリューム・コントロールでデスクトップの音量を設定できます。 ウィンドウ・メニュー ウィンドウ一覧では表示可能なウィンドウの一覧と、それらを参照する機能を提供します。
下部パネル デスクトップの表示ボタン このボタンは、全てのウィンドウを隠してデスクトップを表示させます。 ウィンドウの一覧 ウィンドウ一覧では表示可能なウィンドウの一覧と、それらを参照する機能を提供します。 ワークスペース切り換え器 ワークスペース切り換え器は、ウィンドウを管理するためのワークスペースの縮小版を表示します。詳細は、を参照してください。
デスクトップ ウィンドウや背景画像、アイコンが表示される領域をデスクトップと言います。インストール当初の設定では、左側に『ユーザのホーム』、『ここからスタート』、『ゴミ箱』といったランチャが並んでいます。これらは、マウスでドラッグして自由に配置を変えることができます。『ユーザのホーム』を左ボタンでダブルクリックするとファイルマネージャNautilusが起動し、ユーザのホームディレクトリのファイルの一覧が表示されます。『ここからスタート』アイコンをダブルクリックした場合もNautilusが起動しますが、この場合はオンラインマニュアルやシステム設定などのランチャが表示されます。『ゴミ箱』には、Nautilusなどで削除したファイルが一時的に格納されます。 なお、デスクトップ上でマウスの右ボタンを押すとメニューが表示されます。ここから、Nautilusや端末エミュレータを起動したり、ランチャやフォルダの生成、背景の変更などが可能です。
共通的なウィンドウの操作方法 アプリケーションを起動して表示されるウィンドウの最上部には、タイトルバーがあります。ウィンドウが最大化されていない状態でタイトルバーをドラッグするとウィンドウを移動することができます。タイトルバーにはの様なボタンが配置されています。 また、通常の状態でウィンドウの外枠にマウスポインタを合わせるとポインタの形状が変わり、マウスのドラッグによりウィンドウの大きさを変更する事ができます。 タイトルバーのアイコン ウィンドウメニュー デフォルトのテーマでは、左上のブドウのアイコンをクリックするとウィンドウメニューが表示されます。これにより、アプリケーションを終了させたり、最小化させたりする事ができます。なお、このメニューはタイトルバー上の任意の場所を右クリックすることによっても表示できます。 最小化ボタン デフォルトのテーマでは、「▽」ボタンをクリックするとウィンドウを最小化できます。最小化したウィンドウは、で紹介したウィンドウ・メニューやウィンドウの一覧を利用することにより、再表示可能です。また、AltTabというショーットカットキーを利用して再表示することも可能です。 最大化ボタン デフォルトのテーマでは、通常の状態で「△」ボタンをクリックすることにより、ウィンドウを最大化できます。逆に最大化した状態でこのボタンを押すとウィンドウを通常の状態に戻す事ができます。この機能は、タイトルバーをダブルクリックする事によっても利用可能です。 ウィンドウを閉じるボタン デフォルトのテーマでは、「×」ボタンをクリックする事によりウィンドウを閉じることができます。単一のウィンドウで構成されるアプリケーションでは、同時にアプリケーションの終了を意味します。後述するGIMPなど複数のウィンドウで構成されるアプリケーションの場合は、メインのウィンドウを閉じるまでアプリケーションは終了しません。
GNOMEヘルプ・システム パネルのアプリケーションメニューから、GNOMEヘルプ・システムをクリックするとヘルプブラウザyelpが起動します。残念ながら、ほとんどが英語ですが、GNOMEやアプリケーションなどの使い方を参照する事ができます。 なお、yelpに対応したアプリケーションであれば、ヘルプメニューから目次を実行する事により、直接、アプリケーションのヘルプを表示する事ができます。 ファイルマネージャ Nautilus パネルのアプリケーションメニューから、ホーム・フォルダをクリックした場合などに起動されるのが、GNOME標準のファイルマネージャNautilusです。 Nautilusを起動すると『場所:』に現在参照中のディレクトリ名などが表示され、その場所にあるファイルやディレクトリの一覧がアイコンで表示されます。画像ファイルの場合はアイコンの代わりにサムネイル画像が表示されます。Nautilusには以下の様な機能があります。 ディレクトリをダブルクリックすると、そのディレクトリへ移動します。ツールバーの上へをクリックすると、1つ上のディレクトリへ移動します。 ファイルをダブルクリックするとファイルの種類に応じてアプリケーションを起動して表示します。テキストファイルの場合は、Nautilusがテキストビューアに切り替わりファイルの内容を表示します。 アーカイブファイルや圧縮ファイルをクリックすると後述のFile Rollerが起動され、内容を確認する事ができます。 ファイルをドラッグする事により、デスクトップや他のディレクトリへ移動することができます。(Ctrlを押しながらドラッグするとコピーできます。) アイコン上で右クリックするとコンテキストメニューが表示されます。不要なファイルは「ゴミ箱へ移動する」で消すことができます。 この他にもいろいろな機能がありますが、詳細はNautilusのヘルプを参照してください。また、nautilus-cd-burnerなどのパッケージをインストールする事により、機能の拡張が可能です。
代表的なアプリケーション この章では、代表的なアプリケーションをGNOMEのアプリケーションメニューの分類にしたがって紹介します。インストールされていない場合は、必要に応じてインストールして下さい。以降に示すアプリケーションの内、[VinePlus]が付加された物はインストールCDには付属せず、FTP サイトからの入手の他、APTパッケージ管理システムを利用してインストールする事ができます。詳細は、を御覧ください。 なお、各アプリケーションの使い方等については、アプリケーション付属のヘルプや公式サイト等の情報を参照してください。 アクセサリ File Roller File Rollerは、アーカイブファイルの中身を閲覧したり、ディレクトリやファイルをアーカイブしたりするためのアプリケーションです。以下のファイル形式に対応しています。 非圧縮のTarアーカイブ(*.tar)及び圧縮されたTarアーカイブ(*.tar.gzなど) Zipアーカイブ(*.zip) Jarアーカイブ(*.jar,*.ear,*.war) Lhaアーカイブ(*.lzh) Rarアーカイブ(*.rar) gzip,bzip,bzip2,compress,lzopなどで圧縮された単一のファイル なお公式サイトは、File Roller (home page)です。 GNOMEテキスト・エディタ GNOMEテキスト・エディタ(gedit)は、GNOME標準のテキストエディタです。複数のファイルをタブとして開き同時に編集可能です。 検索、置換などテキスト・エディタとしての基本的な機能の他、ファイルの種類に応じた強調表示が可能です。また、プラグインにより機能の拡張が可能です。 なお公式サイトは、gedit GNOME Text Editorです。 インターネット Firefox Firefoxは、ウェブブラウザです。タブブラウジングや、RSS,RDFに対応するライブブックマークの機能などがあります。最新の Firefox コミュニティエディション 2.0 (Vine Linux 独自ビルド) Bon Echo を採用しました。 Firefoxの公式サイトは、Firefox - Rediscover the Webです。 Mozilla Japanや、ユーザーコミュニティもじら組によって日本語の情報が提供されています。 Sylpheed Sylpheedは、電子メールクライアント&ニュースリーダでその外観は、Microsoft Windowsユーザにも馴染みのあるデザインになっています。 Sylpheedの公式サイトは、Sylpheed - a GTK+ based, lightweight, and fast e-mail clientです。また、Sylpheed ユーザサポートサイトでは、マニュアルやFAQ、掲示板が提供されています。 gFTP gFTPはGtk+を用いたXウィンドウシステム用マルチスレッドFTPクライアントです。並行ダウンロードや、ファイル転送中断のレジューム機能などなど多くの機能を備えています。 gFTPの公式サイトは、gFTP Official Homepageです。 オフィス OpenOffice.org [VinePlus] OpenOffice.orgは、プレゼンテーションツール、ワードプロセッサ、図形描画ツール、表計算ツールで構成されるオフィススイートです。ネイティブのファイル形式以外にもMicrosoft Officeのファイルを入出力したり、Portable Document Format (PDF)へのエクスポートが可能です。 なお公式サイトは、OpenOffice.org: Home Pageです。ただし、VinePlusに収録されているパッケージはXimianによる拡張を取り込んでいます。また、ja: 日本:OpenOffice.org日本ユーザー会にて日本語による情報が提供されています。 グラフィックス Dia Diaは、UMLや回路図など種々のダイアグラムを描写、編集することが可能です。公式サイトはDia a drawing programです。 GGVポストスクリプト・ビューア GGV(GNOME Ghostview)はGhostscriptのフロントエンドであり、PostScript および Portable Document Format (PDF)を表示印刷する事ができます。 GImageView GImageViewは画像ブラウザです。低消費メモリ、コマンドラインからの使用を充分に考慮、シンプルかつ柔軟なインターフェース、画像管理機能、スライドショー完備、様々な並び換えに対応した充実のリストビュー、多数の画像形式対応、各種サムネイルキャッシュ型式対応、ドラッグ & ドロップによるファイル操作、等の特徴があります。 なお公式サイトは、GImageViewです。日本語掲示板も用意されています。 The GIMP GIMP(GNU Image Manipulation Program)は、非常に高機能で柔軟な画像処理を行う事ができます。公式サイトは、GIMP - The GNU Image Manipulation Programです。なお日本語の情報源としては、TheGimpなどがあります。 システム・ツール GNOME端末 GNOME端末(gnome-terminal)を起動するとデフォルトでは、bashと呼ばれるシェルが起動されます。シェルがプロンプトを表示し、プロンプトの横のコマンドラインにコマンドを入力することによって、OSへ命令を与えることができます。入力したキーの解釈はシェルの役割です。Linuxではコマンド入力を多用するので、ターミナルとシェルの組が重要な役割を果たします。 Synaptic Synapticは、APTパッケージ管理システムのフロントエンドです。Synapticを使えば、アプリケーションのインストールがマウス操作で簡単に行えます。詳細は、Synapticによるパッケージ管理を御覧ください。 マルチメディア CDプレーヤー GNOMEに付属する音楽CDを再生できるプレーヤーです。 Beep Media Player Beep Media Player (BMP) は定番の X Multimedia System (XMMS) を GTK2 に移植したメディアプレイヤーです。XMMS同様に、mp3, mod, s3m 等の形式を再生可能です。WinAmpのスキンをそのまま使うことができます。 なお、公式サイトはBeep Media Player Home Pageです。 Totem Totem は GNOME の公式のシンプルなメディアプレイヤーです。プレイリストを用いた再生、フルスクリーン再生、ボリュームのコントロール、シークバー、スライダーでの再生のコントロールなどの機能に併せて、キーボードによる操作も可能となっています。 なお、公式サイトはTotemです。 GUI環境での日本語入力 GUI環境で日本語を入力するには日本語入力システムWnn8を用います。アプリケーションの文字入力可能な場所でCtrlスペースキーを押すことによってが表示され日本語入力が可能になります。一部のXアプリケーションは日本語入力に対応していません。
Wnn8パネル
エディタEmacs上での日本語入力 エディタEmacs上ではCtrlまたはCtrlで切替えになります。 基本操作 デフォルトではローマ字かな入力方式になっており、例えば『kanji』と入力すれば『かんじ』と表示されます。目的の文章を入力し、スペースキーを押す事により変換することができます。文節の移動や確定など基本的なキー操作については、を参照してください。 Wnn8 のキーバインド 変換 [Space] 中止 [Esc] 確定 [Enter] [←],[Ctrl]+[S] [→],[Ctrl]+[L] 文節伸 [Shift]+[→] 文節縮 [Shift]+[←] 前候補 [↑] 次候補 [Space],[↓] 部首入力 [F5] ひらがな変換 [F6] カタカナ変換 [F7] 半角変換 [F8] 英数字変換 [F9]
漢字入力システムの変更 コンソールでsetime(Set IME)コマンドを使って漢字入力システムを切替える事ができます。setimeはVine Linux独自のコマンドです。 以下のコマンドを実行すると現在選択されている漢字入力システムやインストールされている漢字入力システムの状況を知ることができます。 $ setime status 利用する漢字入力システムをかな漢字変換サーバAnthy+入力メソッドSCIMに変更したい場合には次のコマンドを実行します。 $ setime scim 同様に VJE-Delta を使いたい場合は以下を実行します。 $ setime vje 単にsetimeとオプション無しで実行すると使い方が表示されます。 漢字入力システムを変更した場合 漢字入力システムの変更を完全に有効にするためには、GNOMEにログインしなおしてください。
ワークスペースと仮想コンソール ワークスペース GNOMEでは、ワークスペースと言う仮想画面が利用でき、ワークスペース毎に違うウィンドウを表示できます。デフォルトでは、メインのワークスペースを含めて6つのワークスペースが使えるようになっており、パネル上のワークスペース切替器によって表示するワークスペースを変更する事ができます。 仮想コンソール GNOMEを利用しているときにもコンソール画面を使いたい場合があります。このとき一旦ログアウトするのは面倒です。そのようなときのために、仮想コンソールが用意されています。GNOMEが動かなくなったときなどに仮想コンソールで操作したりできます。 仮想コンソールに移るには、CtrlAltF1CtrlAltF6で、各仮想コンソールに移ることができます。また、CtrlAltF7でGNOMEの画面に戻ることができます。 なお、仮想コンソールはGNOME以外のデスクトップ環境、ウィンドウマネージャでも利用できます。また、ランレベル3で起動している場合も利用可能です。 GNOME以外の選択肢 インストールCDで利用できるGUI環境はGNOMEとtwm(X標準のウィンドウマネージャ)だけですが、VinePlusにはGNOME以外のデスクトップ環境やウィンドウマネージャが用意されています。これらは、APTパッケージ管理システムを利用することで簡単にインストールする事ができます。以下にVinePlusに用意されているデスクトップ環境などのパッケージの例を挙げます。 デスクトップ環境やウィンドウマネージャのパッケージ パッケージ名 公式サイト 日本語の情報源 task-kde KDE Homepage - Conquer your Desktop! K Desktop Environment Home (JKUG) task-xfce Xfce - Desktop Environment XFce Wiki - FrontPage WindowMaker Window Maker - Your Next Window Manager Window Maker完全FAQ blackbox Blackbox Wiki - Blackbox fluxbox .:F L U X B O X:. - Welcome to fluxbox Fluxbox 文書 fvwm2 The Official FVWM Home Page icewm icewm