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<book lang="ja" id="tex-guide">
 <bookinfo>
  <title>日本語 TeX 利用ガイド</title>
  <authorgroup>
   <author>
    <firstname>Munehiro</firstname>
    <surname>Yamamoto</surname>
   </author>
  </authorgroup>

  <abstract>
   <para>
    
   </para>
  </abstract>
 </bookinfo>

 <chapter id="japanese-tex">
  <title>日本語 TeX 環境の構築</title>

  <para>
   この章では、Vine Linux の日本語 TeX 環境を構成している主要なパッケージについて解説しています。
  </para>

  <sect1 id="task-tetex">
   <title>基本的な日本語 TeX 環境の構築</title>

   <para>
    日本語 TeX 環境の構築は，
    task-tetex パッケージをインストールすると一通り整います。
    <screen>
# apt-get install task-tetex</screen>
   </para>

   <table>
    <title>task-tetex パッケージでインストールされるパッケージリスト</title>
    <tgroup cols="2">
     <thead>
      <row>
       <entry>パッケージ名</entry>
       <entry>概要</entry>
      </row>
     </thead>
     <tbody>
      <row>
       <entry>jvf</entry>
       <entry>日本語仮想フォント</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>tetex</entry>
       <entry>tetex TeX 文書整形システム</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>tetex-extra</entry>
       <entry>tetex 関連の追加バイナリ・フォント</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>tetex-macros</entry>
       <entry>tetex で使うマクロパッケージ集</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-otf</entry>
       <entry>tetex で使うマクロパッケージ（齋藤修三郎氏による「OpenType Font用VF」）</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>dvipdfmx</entry>
       <entry>DVI から PDF へ変換</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>xdvik</entry>
       <entry>DVI ファイルのプレビューアー</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>xdvik-search</entry>
       <entry>TeX src-special を Emacsen上で使用するための elisp</entry>
      </row>
     </tbody>
    </tgroup>
   </table>

  </sect1>

  <sect1 id="tetex-package">
   <title>tetex パッケージ</title>

   <para>
    Vine Linux 5.0 の日本語 TeX 環境の根幹である tetex パッケージは、
    土村展之氏による日本語 TeX ディストリビューション 
    <ulink url="http://www.nn.iij4u.or.jp/~tutimura/tex/ptetex.html">ptetex3</ulink> をベースにして、
    Vine Linux 独自の調整を施しています。
   </para>

   <sect2 id="rml-and-gbb">
    <title>標準の明朝体とゴシック体</title>

    <para>
     標準の明朝体 (rml) とゴシック体 (gbb) は、
     それぞれ IPA 明朝、VL ゴシック に設定しています。
    </para>

    <para>
     他の TrueType フォントや モリサワやヒラギノ、小塚などの OpenType フォントへの変更や利用をしたい場合は、<xref linkend="updmap" /> を参照して下さい。
    </para>

   </sect2>


   <sect2 id="ptexenc">
    <title>ptexenc による文字コード自動認識</title>

    <para>
     Vine Linux 5.0 では、
     標準ロケールが utf-8 になったので、
     日本語 TeX 環境もそれに合わせて、
     標準の文字コードを utf-8 になっています。
    </para>

    <para>
     Vine Linux 5.0 では、
     過去に書いた非 utf-8 エンコーディングな TeX ソースコードがそのままコンパイルできるように、
     ptexenc による文字コード自動認識を標準で有効にしました。
     これは <filename>/usr/share/texmf/web2c/texmf.cnf</filename> に以下のように設定しています。

     <screen>
PTEX_IN_FILTER = /usr/bin/nkf -w</screen>
    </para>
   </sect2>

   <note>
     <title>tetex ディストリビューションに含まれている xkeyval, pgf, beamer, pict2e マクロパッケージついて</title>
     <para>
      tetex パッケージを構成している 
      tetex ディストリビューションのアーカイブに含まれていた 
      xkeyval, pgf, beamer, pict2e マクロパッケージはすでに古いので、
      <xref linkend="tetex-macros-package" /> により、最新版を提供しています。
     </para>
    </note>

  </sect1>


  <sect1 id="texmacro-otf">
   <title>texmacro-otf パッケージ</title>

   <para>
    texmacro-otf パッケージは、
    齋藤修三郎氏による「OpenType Font 用 VF」がインストールされます。
   </para>

   <para>
    モリサワやヒラギノ、小塚などの OpenType フォントを所持していなくても、
    デフォルトで otf マクロパッケージが使えるように調整しています。
   </para>

   <para>
    また、モリサワやヒラギノ、小塚の 
    OpenType フォントをインストールするためのパッケージを用意しています。
    詳細は、<xref linkend="commercial-opentype-font" /> を参照して下さい。
   </para>

  </sect1>


 <sect1 id="tetex-macros-package">
  <title>tetex-macros パッケージ</title>

  <para>
   tetex-macros パッケージは、
   日本語 TeX を使う上で便利な TeX のマクロパッケージを収録しています。
  </para>

  <para>
   新日本語ドキュメントクラスの jsclasses や
   listings 環境にて日本語を通す jlisting、
   3 つのメジャーなプレゼンテーションクラス 
   Prosper, Powerdot, Beamer をサポートしています。
  </para>

  <para>
   過去に作成した Prosper や Powerdot のデータを
   そのまま最新の TeX 環境で生かすことも可能です。
  </para>


  <table>
   <title>task-tetex パッケージに収録されている主なマクロパッケージ</title>
   <tgroup cols="2">
    <thead>
     <row>
      <entry>マクロパッケージ名</entry>
      <entry>公式サイト</entry>
      <entry>概要</entry>
     </row>
    </thead>
    <tbody>
     <row>
      <entry>jsclasses</entry>
      <entry><ulink url="http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/jsclasses/">pLaTeX2e 新ドキュメントクラス</ulink></entry>
      <entry>奥村晴彦氏による pLaTeX2e 新ドキュメントクラス</entry>
     </row>
     <row>
      <entry>jlisting</entry>
      <entry><ulink url="http://mytexpert.sourceforge.jp/index.php?Listings">Listings - MyTeXpert</ulink></entry>
      <entry>
       吉永徹美氏のマクロをベースにして渡辺 徹氏がまとめた、
       listings で日本語を通すためのマクロパッケージ
      </entry>
     </row>
     <row>
      <entry>pict2e</entry>
      <entry><ulink url="http://www.ctan.org/tex-archive/macros/latex/contrib/pict2e/">CTAN: directory: /tex-archive/macros/latex/contrib/pict2e</ulink></entry>
      <entry>完全に PostScript に対応した新しい picture 環境</entry>
     </row>
     <row>
      <entry>Prosper</entry>
      <entry><ulink url="http://sourceforge.net/projects/prosper/">Prosper: high quality slides in LaTeX</ulink></entry>
      <entry>プレゼンテーションクラス（公式 Web サイトはすでに閉鎖しています）</entry>
     </row>
     <row>
      <entry>Powerdot</entry>
      <entry><ulink url="http://stuwww.uvt.nl/~hendri/Downloads/powerdot.html">powerdot class</ulink></entry>
      <entry>Prosper の使い勝手を改善したプレゼンテーションクラス</entry>
     </row>
     <row>
      <entry>Beamer</entry>
      <entry><ulink url="http://latex-beamer.sourceforge.net/">The LaTeX Beamer Class Homepage </ulink></entry>
      <entry>最近流行っているプレゼンテーションクラス</entry>
     </row>
    </tbody>
   </tgroup>
  </table>

 </sect1>

 <sect1 id="xdvik">
  <title>xdvik パッケージと xdvik-motif パッケージ</title>

  <para>
   xdvik は日本語対応 dvi プレビュアーです。
  </para>

  <para>
   Vine Linux 5.0 では、xdvik のツールキットが異なった 
   2 種類の xdvik パッケージ、xdvik-motif パッケージを用意しています。
   ツールキットとして、
   ぞれぞれ Xaw3d, openMotif を用います（<xref linkend="fig-xdvik-xaw3d" />、<xref linkend="fig-xdvik-motif" />）。
  </para>

  <warning>
   <title>xdvik パッケージと xdvik-motif パッケージの両方をインストールしていたら…</title>
   <para>
    <command>xdvi</command> を実行すると、Motif 版 xdvik が起動します。
   </para>

   <para>
    実際に <filename>/usr/bin/xdvi</filename> は 
    <filename>/usr/bin/xdvi.bin</filename> のラッパーになっています。
    <screen>
$ ls -l /usr/bin/xdvi.bin 
lrwxrwxrwx 1 root root 22  7月19日 04:32 /usr/bin/xdvi.bin -> /etc/alternatives/xdvi*</screen>
   </para>

   <para>
    <filename>/usr/bin/xdvi.bin</filename> は、
    <command>update-alternatives</command> により
    Xaw3d 版、Motif 版を切り替えていて、
    Motif 版の xdvi の優先度を Xaw3d 版のそれよりも高くしています。
    <screen>
$ /sbin/update-alternatives --display  xdvi
xdvi - status is auto.
 link currently points to /usr/bin/xdvi-motif
/usr/bin/xdvi-xaw3d - priority 30
/usr/bin/xdvi-motif - priority 50
Current `best' version is /usr/bin/xdvi-motif.</screen>
   </para>
  </warning>

                <figure id="fig-xdvik-xaw3d">
                        <title>xdvik（Xaw3d 版）</title>
                        <graphic fileref="images/xdvik-xaw3d.png" />
                </figure>

                <figure id="fig-xdvik-motif">
                        <title>xdvik（Motif 版）</title>
                        <graphic fileref="images/xdvik-motif.png" />
                </figure>

 </sect1>


 <sect1 id="fmex-and-cmex">
  <title>tetex-tt2001-fmex789 パッケージと tetex-bakoma-cmex789 パッケージ</title>
  <para>
   通常、cmex の 7, 8, 9 pt にマッピングされている 
   fmex{7,8,9}.pfb のグリフ /space (0x0020) には、
   大きめな左パーレンが割り当てられています。
  </para>

  <para>
   例えば、以下の tex ソースにより得られる
   <command>\left(</command> の左パーレンがちょうど fmex9.pfb のそれに該当します。
   <screen>
\documentclass{article}
\usepackage{amsmath}
\begin{document}
\small
$$
\left(
\sum_{i=0}^D
\right)
$$
\end{document}</screen>
  </para>

  <para>
   一部の出力環境によっては、
   この左パーレンが pdf プレビュー時および印刷時に欠落してしまう問題があります。
  </para>

  <para>
   安全な出力のために Vine Linux 5.0 では、
   この問題への対処として、
   tetex-tt2001-fmex789 と tetex-bakoma-cmex789 (non-free)
   という 2 つのパッケージを用意しました。
  </para>

  <para>
   前者はグリフ /space を /visiblespace へ置換することで、
   後者は Bakoma フォントを利用することで、この問題へ対応しています。
  </para>

  <para>
   この問題の詳細は、奥村晴彦氏が運営する 
   <ulink url="http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/">TeX Wiki</ulink> 
   の 
   <ulink url="http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/52241.html">[qa:52241] tetex3とWin32TeXのcmex7/8/9の違い</ulink> 
   を先頭とするスレッドを参照してください。
  </para>

 </sect1>

</chapter>


<chapter id="tex-costomize">
 <title>カスタマイズ</title>

 <para>
  この章では、texmf のディレクトリ構成および
  フォントマップ一元管理機構 updmap について、
  特に和文書体の設定を中心に解説しています。
 </para>

 <para>
  なお、updmap に関するドキュメントを書くにあたり、
  土村展之氏の <ulink url="http://tutimura.ath.cx/ptetex/?%A5%D5%A5%A9%A5%F3%A5%C8%A4%CE%BD%B8%C3%E6%B4%C9%CD%FD">ptetex3 のフォントの集中管理 - ptetex Wiki</ulink> を大いに参考に致しました。
 </para>

 <sect1 id="texmf">
  <title>texmf のディレクトリ構成</title>

  <para>
   tetex3/ptetex3 における texmf のディレクトリ構成は、
   標準で <filename>/usr/share/texmf/web2c/texmf.cnf</filename> により設定されています（<xref linkend="tab-texmf-directory-structure" />）。
  </para>

  <para>
   texmf の優先順は、
   <xref linkend="tab-texmf-directory-structure" /> の一番下の
   <filename>$HOME/.texmf-config</filename> がもっとも高く、
   次に <filename>$HOME/.texmf-var</filename> の順に、
   <filename>/usr/share/texmf-dist</filename> がもっとも低くなっています。
  </para>

  <para>
   <command>updmap-sys</command>, <command>texconfig-sys</command> コマンドは、
   /usr/share 以下の texmf ツリーを利用し、   
   <command>updmap</command>, <command>texconfig</command> コマンドは、
   ホームディレクトリ以下の texmf ツリーを利用します。
  </para>

   <table id="tab-texmf-directory-structure">
    <title>標準の texmf.cnf で設定されている texmf のディレクトリ構成一覧</title>
    <tgroup cols="3">
     <thead>
      <row>
       <entry>ディレクトリ</entry>
       <entry>標準の texmf.cnf における環境変数名</entry>
       <entry>TeX 関連パッケージによる影響の有無</entry>
       <entry>updmap/texconfig による影響の有無</entry>
       <entry>概要</entry>
      </row>
     </thead>
     <tbody>
      <row>
       <entry><filename>/usr/share/texmf-dist</filename></entry>
       <entry>TEXMFDIST</entry>
       <entry>○（tetex パッケージのみ）</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>tetex3 ディストリビューションのツリー。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>/usr/share/texmf</filename></entry>
       <entry>TEXMFMAIN</entry>
       <entry>○（tetex パッケージ以外）</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>
        ptetex3 ディストリビューションのツリー。
        TeX 関連パッケージは、このツリーに必要なファイルを展開しています。
       </entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>/usr/share/texmf-local</filename></entry>
       <entry>TEXMFLOCAL</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>
        システムワイドなツリー。
        このツリーは、texconfig-sys や updmap-sys により使われません。
       </entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>/usr/share/texmf-var</filename></entry>
       <entry>TEXMFSYSVAR</entry>
       <entry>○（updmap-sys）</entry>
       <entry>○</entry>
       <entry>
        texconfig-sys は必要なファイルを格納するツリー。
        updmap-sys により生成されたマップファイルもこのツリーに格納されます。
       </entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>/usr/share/texmf-config</filename></entry>
       <entry>TEXMFSYSCONFIG</entry>
       <entry>○（updmap-sys）</entry>
       <entry>○</entry>
       <entry>
        texconfig-sys が設定ファイルを格納するツリー。
        updmap.cfg もこのツリーに格納されます。
       </entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>$HOME/texmf</filename></entry>
       <entry>TEXMFHOME</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>ユーザの texmf ツリー。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>$HOME/.texmf-var</filename></entry>
       <entry>TEXMFVAR</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>○</entry>
       <entry>ユーザの texmf-var ツリー。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry><filename>$HOME/.texmf-config</filename></entry>
       <entry>TEXMFCONFIG</entry>
       <entry>×</entry>
       <entry>○</entry>
       <entry>ユーザの texmf-config ツリー。</entry>
      </row>
     </tbody>
    </tgroup>
   </table>

 </sect1>

 <sect1 id="updmap">
  <title>フォントマップ一元管理機構 updmap</title>

  <para>
   ptetex3 では、tetex3 の欧文フォント管理機構 <command>updmap</command> を、和文フォントに対して拡張した <command>updmap</command> が採用されています。
  </para>


  <table>
   <title>updmap の機能〔<ulink url="http://tutimura.ath.cx/ptetex/?%A5%D5%A5%A9%A5%F3%A5%C8%A4%CE%BD%B8%C3%E6%B4%C9%CD%FD">ptetex3 のフォントの集中管理 - ptetex Wiki</ulink> を改変〕</title>
   <tgroup cols="3">
    <thead>
     <row>
      <entry></entry><entry>欧文</entry><entry>和文</entry>
     </row>
    </thead>
     <tbody>
      <row>
       <entry>実装</entry>
       <entry>teTeX-3.0</entry>
       <entry><ulink url="http://www.ma.ns.musashi-tech.ac.jp/Pages/TeX/updmap.html">井上浩一氏の拡張</ulink></entry>
      </row>
      <row>
       <entry>登録する map の書式</entry>
       <entry>dvips 用</entry>
       <entry>dvipdfmx 用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>登録する map の置場</entry>
       <entry><filename>$TEXMF/fonts/map/dvips/</filename></entry>
       <entry><filename>$TEXMF/fonts/map/dvipdfm/</filename>（x なし）</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>登録方法</entry>
       <entry>
        <para>updmap-sys --enable Map=hoge.map</para>
        <para>updmap-sys --enable MixedMap=hoge.map</para>
       </entry>
       <entry>updmap-sys --enable KanjiMap=hoge.map</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>生成される map</entry>
       <entry>
        <para>
         dvips: <filename>$TEXMFSYSVAR/fonts/map/dvips/updmap/psfonts_t1.map</filename>
        </para>
        <para>
         dvipdfm: <filename>$TEXMFSYSVAR/fonts/map/dvipdfm/updmap/dvipdfm_dl14.map</filename>
        </para>
        <para>
         pdftex: <filename>$TEXMFSYSVAR/fonts/map/pdftex/updmap/pdftex_dl14.map</filename>
        </para>
       </entry>
       <entry>
        <para>
         dvips: <filename>$TEXMFSYSVAR/fonts/map/dvips/updmap/psfonts_t1.map</filename>
        </para>
        <para>
         dvipdfmx, xdvik: <filename>$TEXMFSYSVAR/fonts/map/dvipdfm/updmap/kanjix.map</filename>
        </para>
       </entry>
      </row>
      <row>
       <entry>その他</entry>
       <entry>xdvi, dvipng 等は dvips の map を利用</entry>
       <entry>xdvik 用のデフォルト和文フォントの指定も</entry>
      </row>
     </tbody>
   </tgroup>
  </table>


  <note>
   <title>updmap の設定ファイル</title>

   <para>
    distribution-wide, system-wide な updmap の設定ファイルは、それぞれ
    <filename>/usr/share/texmf/web2c/updmap.cfg</filename>, 
    <filename>/usr/share/texmf-config/web2c/updmap.cfg</filename>
    に格納されています。
   </para>

   <para>
    <command>updmap-sys</command> コマンドを用いることで
    既存の updmap.cfg への変更があれば、
    <filename>/usr/share/texmf-config/web2c/updmap.cfg</filename>
    へ設定されます。
   </para>

   <para>
    必要であれば、直接 
    <filename>/usr/share/texmf-config/web2c/updmap.cfg</filename>
    を編集するとよいです。
   </para>

   <para>
    同時に、ローカルで必要なファイルは、
    <filename>/usr/share/texmf-var</filename>, 
    <filename>/usr/share/texmf-local</filename>
    に置けます。
   </para>
  </note>


 <sect2 id="ps-morisawa-map">
  <title>ps-morisawa-map</title>
  <para>
   事実上，出版・印刷業界で標準であるモリサワフォント（OpenType 版）を
   updmap で利用するには、フォントマップの作成に一工夫が必要です。
  </para>

  <para>
   Vine Linux 5.0 ではその一工夫に対する一つの解として、
   tetex パッケージに ps-morisawa.map
   （非フォント埋め込み用は ps-morisawa-noEmbed.map）を同梱しました。

   <screen>
%% ps-morisawa.map
%% modified from /usr/share/texmf/fonts/map/dvipdfm/morisawa.map

%%
%% Morisawa
%%
ryumin-l    H   RyuminPro-Light.otf
ryumin-l-v  V   RyuminPro-Light.otf
gtbbb-m     H   GothicBBBPro-Medium.otf
gtbbb-m-v   V   GothicBBBPro-Medium.otf
futomin-b   H   FutoMinA101Pro-Bold.otf
futomin-b-v V   FutoMinA101Pro-Bold.otf
futogo-b    H   FutoGoB101Pro-Bold.otf
futogo-b-v  V   FutoGoB101Pro-Bold.otf
jun101-l    H   Jun101Pro-Light.otf
jun101-l-v  V   Jun101Pro-Light.otf</screen>
  </para>

  <para>
   ps-morisawa.map と合わせて、
   OTF-Morisawa-basic7 パッケージでは、同時に
   PS 漢字名（CID Font 名）の名前解決も図っています。
  </para>

 </sect2>

 </sect1>

 <sect1 id="commercial-opentype-font">
  <title>モリサワ、ヒラギノ、小塚 の OpenType フォント用パッケージ</title>

  <para>
   モリサワ、ヒラギノ、小塚 の OpenType フォントを、
   TeX 環境で比較的すぐに利用できるように、
   あらかじめパッケージを用意しています。

    <itemizedlist>
     <listitem>
      <para>
       OTF-Hiragino: 日本語 ヒラギノ OpenType フォント（基本６書体）
      </para>
     </listitem>
     <listitem>
      <para>
       OTF-Kozuka: 小塚 OpenType フォント
      </para>
     </listitem>
     <listitem>
      <para>
       OTF-Morisawa-basic7: 日本語 モリサワ OpenType フォント（基本７書体）
      </para>
     </listitem>
     <listitem>
      <para>
        OTF-Morisawa-RmSgSmg: 日本語 モリサワ OpenType フォント
      </para>
     </listitem>
     <listitem>
      <para>
       OTF-Morisawa-extras: 追加 日本語 モリサワ OpenType フォント
      </para>
     </listitem>
    </itemizedlist>

  </para>

   <table>
    <title>OTF-* パッケージのディレクトリ構成</title>
    <tgroup cols="2">
     <thead>
      <row>
       <entry>ディレクトリ</entry>
       <entry>概要</entry>
      </row>
     </thead>
     <tbody>
      <row>
       <entry>/usr/share/fonts/OpenType-*</entry>
       <entry>OpenType フォントを格納します。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>/usr/share/ghostscript/8.64/Resource/CIDFont</entry>
       <entry>/usr/share/fonts/OpenType-* からシンボリックリンクを CIDFont 名で張ります。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>/usr/share/ghostscript/8.64/Resource/Font</entry>
       <entry>各 CIDFont に対するフォントスペックを格納します。</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>/usr/share/texmf/fonts/opentype</entry>
       <entry>/usr/share/fonts/OpenType-* からシンボリックリンクを張ります。</entry>
      </row>
     </tbody>
    </tgroup>
   </table>


 </sect1>

</chapter>

<chapter id="tex-related">
 <title>TeX 関連パッケージの紹介</title>

 <sect1 id="academic-class">
  <title>学術学会誌関連のクラスファイル</title>

  <para>
   Vine Linux では、
   いくつかの学術学会誌関連のクラスファイルをパッケージしています。
  </para>

   <table>
    <title>学術学会誌関連のクラスファイルのパッケージリスト</title>
    <tgroup cols="2">
     <tbody>
      <row>
       <entry>texmacro-his</entry>
       <entry>ヒューマンインタフェース学会論文原稿作成用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-ieej</entry>
       <entry>電気学会論文誌 原稿作成用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-ieice</entry>
       <entry>電子情報通信学会論文原稿、技術研究報告作成用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-ipsj</entry>
       <entry>情報処理学会論文原稿作成用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-jasj</entry>
       <entry>日本音響学会誌（和文誌）原稿作成用</entry>
      </row>
      <row>
       <entry>texmacro-jps</entry>
       <entry>日本物理学会論文原稿作成用</entry>
      </row>
     </tbody>
    </tgroup>
   </table>

 </sect1>

 <sect1 id="yatex">
  <title>Emacs と YaTeX（やてふ） </title>

  <para>
   やてふは Emacs 用の TeX 入力支援ツールです。
  </para>

  <para>
   Vine Linux 5.0 では、vine-default と呼ばれる 
   Emacs の Vine Linux デフォルト設定が導入されており、
   やてふも vine-default であらかじめ設定されています。
  </para>

  <para>
   やてふの詳細な設定は、
   <filename>/usr/share/emacs-23.1/site-lisp/yatex/vine-default-yatex.el</filename>
   を参照して下さい。
  </para>
</sect1>

 <sect1 id="lyx">
  <title>LyX</title>

  <para>
   LyX は、文書の単純な外見による（WYSIWYG）のではなく、
   文書の「構造」（WYSIWYM）に基づいた執筆手法を支援する文書プロセッサです。
  </para>

  <para>
   グラフィカルユーザインタフェースの備わっており、
   バックエンドにTeXを使っているので、
   TeX に不慣れなユーザでも数式を多く含んだ文章を簡単に作成できます。
  </para>

                <figure id="fig-lyx">
                        <title>LyX</title>
                        <graphic fileref="images/lyx.png" />
                </figure>

  <para>
   ここでは、日本語で文字組みを行うための初期設定を説明します。
  </para>

  <orderedlist numeration="arabic">
    <listitem>
     <para>
      [文章] -> [設定] では、「文章クラス」として 
      "article (Japanese New)" を選択します。
      これは実際には jsarticle.cls を使う設定です。
     </para>

     <figure id="fig-lyx-documentclass">
      <title>LyX の文章クラスの設定</title>
      <graphic fileref="images/lyx-documentclass.png" />
     </figure>
    </listitem>

    <listitem>
     <para>
      「言語」として、"日本語" を選択する。
     </para>

     <figure id="fig-lyx-language">
      <title>LyX の言語の設定</title>
      <graphic fileref="images/lyx-language.png" />
     </figure>
    </listitem>
  </orderedlist>

  <para>
   以上の設定をデフォルトの設定して保存しておくには、
   「文章の既定値として保存」ボタンをおせばよい。
   以後、新規で作成するときは、この設定が適応されます。
  </para>

<!--
試しに，図のような数式や図表入りの文章を作成してみたところ，
LyX は TeX の知識が無くてもワープロを扱う感覚で
文章作成に取り組める環境だと実感できる．

高品質なワープロソフトがほしい，
TeX を知らないが TeX で文章を作成しないといけないユーザには，
是非とも LyX を一度試されたい．
-->

</sect1>

 <sect1 id="asymptote">
  <title>Asymptote</title>

  <para>
   Asymptote は MetaPost を発展させたベクトルグラフィック記述言語である。
  </para>

  <para>
   Vine Linux の asymptote パッケージは、
   日本語が使えるようにあらかじめ調整されているので、
   別途ユーザ側で日本語の設定を行う必要はありません。
  </para>

  <figure id="fig-asymptote">
   <title>Asymptote を用いて生成した標準正規分布の密度関数のグラフ</title>
   <graphic fileref="images/asymptote.png" />
  </figure>

<!--
  <para>
試しに標準正規分布の密度関数のグラフを Asymptote で描いてみよう。
以下のソースコードを sample.tex で保存する。
<screen>
 %% -*- coding: utf-8-unix -*-
 %#!platex sample && asy sample && platex sample && xdvi sample
 %#LPR dvipdfmx %s && evince regl-dist.pdf
 \documentclass{jsarticle}
 \usepackage{asymptote}
 \begin{document}
 \begin{center}
 \begin{asy}
 import graph;
 real dnorm(real x) { return exp(-x^2/2)/sqrt(2*pi); }
 size(12cm,8cm,IgnoreAspect);
 draw(graph(dnorm,-4,4,operator ..));
 label("標準正規分布の密度関数 $y=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-x^2\!/2}$", (0,0.45),S);
 xaxis("$x$",BottomTop,LeftTicks); 
 yaxis("$y$",LeftRight,RightTicks); 
 \end{asy}
 \end{center}
 \end{document}
</screen>
  </para>

<para>
コマンドラインからは、
<screen>
 $ platex sample
 $ asy sample
 $ platex sample
 $ xdvi sample
</screen>
の順番に実行することにより、
標準正規分布の密度関数のグラフと日本語を含んだ eps がプレビューできる。
</para>

<para>
Emacs とやてふを使っている場合は、そのまま
<screen>
 C-c t j (Ctrl-c t j)
</screen>
でタイプセットおよび eps を生成し、xdvi で sample.dvi がプレビューできる。
<screen>
 C-c t l (Ctrl-c t l)
</screen>
で dvipdfmx により pdf へ変換されて、evince で sample.pdf がプレビューできる。
</para>

<para>
このように Asymptote は、
LaTeX できれいなグラフを生成する有用な 1 つのツールとなりうるだろう。
</para>
-->

 </sect1>


<!-- 時間がなーい！！！
 <sect1>
  <title>LaTeX2HTML</title>
 </sect1>

 <sect1>
  <title>PDF 操作</title>
  
  <para>
   PDF 結合，抜き出し，しおり加工を解説します。
  </para>

  <sect2>
   <title>ConTeXt</title>
  </sect2>

  <sect2>
  <title>pdftk</title>
  </sect2>
  
 </sect1>

 <sect1>
  <title>evince</title>
 </sect1>

 <sect1>
  <title>gv, ggv</title>
 </sect1>
-->

</chapter>

</book>