Vine Linuxの基本操作
Linuxの起動
電源を入れて起動すると、が起動します。複数のOSが登録されているときには、矢印キーの上下、もしくは、Ctrlp(Ctrlキーを押しながらp), Ctrlnで選択し、Enterキーを押します。
GRUBブートローダ
インストール直後の標準の状態で、Vine Linux (Current kernel) と Vine Linux (Previous kernel) の二つの選択肢があります。通常は Vine Linux (Current kernel) が選択された状態(白地に黒の文字)になっていて、5秒で自動的に起動します。一番下に、あと何秒で起動するかが表示されています。
login:というプロンプトが表示されれば起動は成功です。インストール時に「ディスプレイマネージャを使用する」を選択していた場合は、グラフィカルな画面が現れるはずです。(gdm)
起動時にカーネルオプションを指定、変更するには
起動時にカーネルオプションを指定(run level 3 で起動)
カーネルオプションを指定したい時には、 の画面の時に、編集する候補を、矢印キーの上下、もしくは、Ctrlp, Ctrlnで選択し、eキーを押します。
もとの画面に戻るにはEscを押します。
Vine Linux (Current kernel) を選択した状態で、e を押すと、 のような画面になります。矢印キーの下、もしくはCtrln で kernel と書かれている行を選択します。
GRUBブートローダでのカーネルオプションの入力 1
さらに e を押すと、 のような画面になります。行末にカーソル _ があるので、スペースを一つ入れてから、カーネルオプションを入力します。
GRUBブートローダでのカーネルオプションの入力 2
ランレベル 3 で起動する場合には、 のように 3 と入力します。
GRUBブートローダでのカーネルオプションの入力 3
Enter を押すと確定して一つ前の画面()に戻ります。(入力したものを取り消してもとの画面に戻るにはEscを押します。)
そのまま b を押すと起動できます。
GRUBブートローダでのカーネルオプションの入力 4
GRUBブートローダでランレベルを指定し一時的に変更することができますが、一時的にではなく恒常的に設定するには、 を参照し、カーネルオプションではなく、設定ファイルを変更してください。
起動に成功してお望みの効果がでたならば、を参考にして、デフォルトのカーネルオプションとして登録しておけばよいでしょう。
に代表的なカーネルオプションの例を示します。デバイス名や数字はシステムによって変更する必要があります。詳細は/usr/share/doc/JF/BootPrompt-HOWTO.txt.gzを参考にして下さい。
起動時のメッセージについては、キーボードを認識してからであれば Scroll Lock キーを押すことで処理を一時停止し画面のスクロールを止めることができます。再度 Scroll Lock キーを押すことで処理と画面のスクロールが再開します。
起動後には dmesg コマンドや、/var/log/messagesなどを読むことで、起動時のメッセージなどを確認することができます。(参考:)
よく使われるカーネルオプション
1
ランレベル1(シングルユーザモード)で起動します。rootユーザのみが使用可能な状態になり、ネットワークやNFSなどの設定は自動的には行われません。主にシステムの管理や復旧のときに使用します。
3
ランレベル3で起動します。通常のユーザも使用できます。コンソールからのログインになります。
5
ランレベル5で起動します。通常のユーザも使用できます。Xサーバが起動され、gdmなどのディスプレイマネージャが起動されます。ログイン後すぐにXウインドウ環境が使えます。
acpi=force
ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)を有効にします。バッテリーの残量のチェックやシャットダウン時の自動電源OFFの機能などが使えるようになります。ACPI は APM よりも新しい比較的新しい規格のため、対応する BIOS であっても、BIOS が古いと判断され、起動時に無効になっていることがあります。電力制御の規格です。
acpi=off apm=on
ACPIを無効にして、APM(Advanced Power Management)の機能を有効にします。バッテリーの残量のチェックやシャットダウン時の自動電源OFFの機能などが使えるようになります。
apm=power-off
APMでSMPマシン2つ以上のCPUまたはHT(ハイパースレッディング)機能を持つCPUを持ったPCのことをさします。SMPはSymmetric Multiple Processorの略です。SMPに対して1つだけのCPUというときにはUP(Uni Processor)と言います。のシャットダウン時の自動電源OFFの機能を有効にします。
lapic
SMPマシンでのAPIC(Advanced Programmable Interrupt Controller)を有効にします。
hdc=ide-scsi
IDEのデバイス/dev/hdcをSCSIのデバイスとして利用する場合に使用します。例えば、IDE(ATAPI)のCD-R/RWを接続している場合に、これをSCSIドライブとして扱うことができます。
mem=96m
メモリの大きさが自動認識されない場合に設定します。実際に搭載しているメモリよりも大きな値は設定してはいけません。また、システムによっては1Mバイト程度小さく設定する必要があります。
root=/dev/hda1
ルートファイルシステムのデバイス名を指定します。
init=/bin/sh
起動時に実行させるプログラムを指定します。システムが破損され、全く起動できない非常事態のときにinit=/bin/shと指定すると、シェル/bin/shを起動させることができます。
デフォルトのカーネルオプションを変更するには
デフォルトのカーネルオプションを変更するには /boot/grub/menu.lst を編集します。起動しなくなるおそれがありますので、必要な部分以外は書き変えないでください。
GRUBではブートレコードを更新する必要がありません
Vine Linux 3.2まで標準のブートローダであったLILOでは、設定ファイルの変更の度に/sbin/liloを実行する必要がありましたが、GRUBではこの様な操作は必要ありません。
gdmからログインした後で、以下のいずれかの方法により、ブートローダの設定をするためのツールが起動します。
GNOMEメニューのデスクトップ→システム管理→ブートローダの管理を実行
ターミナルエミュレータ等から、boot-adminコマンドを実行
この際、rootユーザのパスワードを尋ねるダイアログが表示されますのでパスワードを入力してOKをクリックしてください。
Boot マネージャの設定
名前のVine Linux (Current kernel)をクリックして選択します(色がかわります)。プロパティ(P)をクリックします。
Boot イメージ・エディタ
パラメータ(P):の右にある編集(E)をクリックします。
起動オプション エディタ
その他のパラメータ:のところの一番右にスペース(空白)を一つ入れたあとで acpi=forceのようにカーネルオプションを書き加えます。
hdc=ide-scsi のような SCSI デバイスとして認識させる場合には、IDE ドライブの SCSI エミュレーションを有効にする のところにチェックをつけて、さらに /dev/hdc のようなデバイス名のところにチェックをつけてください。
チェックや書き変えをおこなったらOKをクリックしてください。
コンソールで書き変えるには
コンソールでのログインの場合は、スーパーユーザ(root)で jed や vi や emacs などのエディタで直接 /boot/grub/menu.lst を編集してください。
ログインしよう
コンソールからログインする
マルチユーザシステムでは、ユーザ認証の過程が必要です。システムが起動する
と、ユーザ名とパスワードを入力するよう画面に表示されます。ユーザの認証を
行うことをログインすると言います。
UNIXではコンソール画面と言われる、基本的に文字しか表示できない画面と、
X Window System を利用したグラフィカルなウィンドウ画面があります。Vine
Linuxをインストールするときに、「X 設定のカスタマイズ」で、
「ログインの種類を選択してください」に「グラフィカル」と答えていると、
ウィンドウ画面が現れます。「テキスト」と答えていると、コンソール画面になります。
コンソール画面の場合、起動プロセスが完了した後、 login: と表示されます。
ここにはユーザ名を入力してEnterキーを押してください。
次に Password: と現れますので、そのユーザのパスワードを入力します。
この際、入力した文字は全く表示されないので注意して入力してください。
パスワードを入力できたらEnterキーを押してください。
まだ、ユーザ登録をしていない場合は、ユーザ名に rootと入力し、
インストール時に設定したパスワードを入力します。
login:のところで、ユーザ名を入力します
Password:のところで、パスワードを入力します
ログインすると、プロンプト「#」で表示されているのはコマンド(命令)の入力を促すプロンプトです。通常、rootユーザの時は「#」ですが一般ユーザのときは「$」と表示されます。「#」や「$」の前にいろいろ表示されますが、本書の実行例では単に「#」や「$」と表記します。が表示されているはずです。実は、通常のコンソールでは日本語の表示はできません。日本語を表示させたい場合は、フレームバッファという仕組みを利用する必要があります。
詳しくは、kernel-doc パッケージをインストールし、 /usr/share/doc/kernel-doc-*/fb/ の各ドキュメントを参照してください。なお、ビデオカードによってはうまくフレームバッファコンソールが動かない場合もありますので御了承ください。
VESAフレームバッファを利用する場合
を参照し、画面の解像度などに応じて、以下のようなカーネルオプションを指定してください。
vga=0x301 (640x480x8bpp)
vga=0x303 (800x600x8bpp)
vga=0x317 (1024x768x16bpp)
VGA16/i810フレームバッファ
VESAフレームバッファに対応していないi81xなどの場合は、起動後にroot権限で以下のようにしてモジュールを読み込ませることで日本語が表示できるようになります。
VGA16フレームバッファ
# modprobe vga16fb
i810専用フレームバッファ
# modprobe i810fb
コンソールからログアウトする
使い終ったときはログアウトという過程が必要です。
まず、書きかけのプログラムや文章はきちんと保存しておきましょう。
また、実行中のアプリケーションもきちんと終了させましょう。ここまでできたらログアウトします。
ログアウトするには、exitやlogoutというコマンドを実行してください。
フレームバッファコンソールでの日本語入力
Emacs であれば、とくに何もせずに、'C-\' (Ctrl\) で日本語入力のOn/Offの切替えになり、日本語入力ができます。GUI環境での使用とほぼ同じ操作方法なので、3.1. テキストエディタ(emacs,xemacs)を参照してください。
VinePlus にある uim-fep と uim-anthy をインストールすることで、
フレームバッファコンソールでも日本語を入力することができるようになります。
ただし、uimの設定ファイルを作成するためのツール(uim-pref-gtkやuim-pref-qt)は、GUI環境を必要とします。
VinePlus のパッケージは、注意事項等を読んだ上で全て自己責任でお使い下さい。
この文書では、uim-fep の使い方などは扱いません。それぞれのパッケージに付属のドキュメントなどを参照してください。
グラフィカルユーザインターフェース
Vine LinuxのGUI環境
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を導入すれば、マウスによる操作や複数のウィンドウが利用できるため大変便利です。
Vine Linux 3.0から、X Window System の実装の一つである X.Org Foundation のプロダクトを採用し、
標準のデスクトップ環境として GNOME を採用しています。詳しくは、
Vine Linuxのグラフィックス環境を参照してください。
また、インストールCDには含まれておりませんが、デスクトップ環境 KDEやウィンドウマネージャ
Window Maker などの Vine Linux 向けパッケージが用意されています。
これらは、APT(Advanced Packaging Tool) などを用いてインストールすることができます。
詳細は、やを御覧ください。
コンソールからGUI環境を起動する
X Window Systemの設定ができましたら、Xウィンドウを起動してみましょう。
コンソール画面からログインした場合、startxコマンドを入力するとX Window Systemが起動され、
デスクトップ環境 GNOME が起動します。
$ startx
Window Makerやディスクトップ環境KDEを起動したい場合は、startxを実行する前に
setwmコマンドでウィンドウマネージャを選択します。
$ setwm wmaker <= Window Makerを選択する場合
$ startx <= startxで起動すると Window Makerが使えます
現在、設定されているウィンドウマネージャは、次のようにして知ることがで
きます。
$ setwm status
Current Window Manager is gnome
また、どのようなウィンドウマネージャを選択できるかは、引数なしで単に
setwmと入力すれば得られます。ただし、インストールされていないものを選択
すると、設定されません。
$ setwm kde <= kdeを選択する
Not found startkde <= 見つからない場合は設定されません
システムを起動したときからXウィンドウを使用したい場合は次に解説するディスプレイマネージャを用います。
ディスプレイマネージャ gdm
コンソール画面からグラフィカルなログイン画面にするには、
ディスプレイマネージャを起動する必要があります。
Vine Linuxでは gdm というディスプレイマネージャを採用しています。
これはランレベル 5に移行するだけで起動されるように設定されています。
# /sbin/telinit 5
システムが起動したときに、自動的にランレベル 5へ移行して gdm を起動するには、
/etc/inittabの以下の部分を書き換えてください。
詳細は、を御覧ください。
id:3:initdefault:
↓
id:5:initdefault:
gdmからのログイン
gdmからログインするには、まず画面の指示に従ってユーザ名を入力し、Enterキーを押します。
次にパスワードの入力画面が表示されますので、パスワード入力しEnterキーを押します。
パスワード入力の際には、入力した文字の代わりに * が表示されるので注意して入力してください。
ユーザ認証に成功すると、ウィンドウマネージャやデスクトップ環境が起動され、利用できる環境になります。
なお、ディスプレイマネージャgdmのログイン画面には、「言語」、「セッション」、「システム」というオプションメニューがあります。
ログイン画面の設定
以下のいずれかの方法により、ログイン画面を設定するためのツールが起動します。
gdmログイン画面のオプションメニューのシステムから、ログイン・マネージャの設定(G) を選択し、rootのパスワードを入力
ログインしたあとで、GNOMEメニューのデスクトップ→システム管理→ログイン画面の設定を実行
ログインしたあとで、GNOME端末等から、gdmsetupコマンドを実行
この際、rootユーザのパスワードを尋ねるダイアログが表示されますのでパスワードを入力してOKをクリックしてください。
ログイン画面の設定ツールは、ローカル、リモート、アクセシビリティ、セキュリティ、ユーザの5つのページで構成されています。詳細については、設定ツールのヘルプを参照してください。
「ローカル」タブのところで、フェイスブラウザを利用するものを選択した場合は、「ユーザ」タブのところで対象、対象外とするユーザを設定してください。
また、ログインしたあとで、GNOMEメニューのデスクトップ→設定→高度な設定→ログインの写真を実行することで、フェイスブラウザの画面に表示される画像を設定することができます。
自動でログインするには?
「セキュリティ」タブのところで、自動ログインを有効にする(E)にチェックをつけ、ユーザを選択することで、起動時に自動的にログインするようにできます。
パスワードの入力を省略するということ
自動ログインを有効にするということは、パスワードの入力を省略するということになり、「なりすまし」等、悪用される危険を伴います。悪用された場合に責任を問われる可能性もありますので、自動ログインを利用する際には、十分に注意してください。
GNOMEからのログアウト
GNOMEからログアウトするには、デスクトップメニューのユーザ名 のログアウトを実行してください。この際、デフォルトの設定であればアクションとしてユーザの切り替え、キャンセル、ログアウトの3つのボタンが表示されるのでログアウトをクリックしてください。
なお、設定によりこのログアウトメニューを表示せずにログアウトさせる事も可能です。その場合は、デスクトップメニューから設定→高度な設定の順にたどり、セッションを実行した時に表示されるウィンドウでログアウト時に確認するのチェックを外してください。
ディスプレイマネージャの変更
xdm,kdm などの他のディスプレイマネージャを使う様に設定するには、setdmコマンドを使用します。
オプションなしでsetdmを実行した場合は、
使い方とともに選択肢が表示されますので使用したいディスプレイマネージャの番号を入力してEnterを押してください。
# /usr/sbin/setdm
使い方: setdm <ディスプレイマネージャ名>
<ディスプレイマネージャ名>...
xdm : X ディスプレイマネージャ
gdm : GNOME ディスプレイマネージャ
ディスプレイマネージャを選択してください。
1) exit
2) xdm
3) gdm
番号を入力>
なお、xdmはデフォルトでインストールされていますが、kdmを使用するには KDE をインストールする必要があります。
システムの停止と再起動
コンソールからのシステムの停止と再起動
システムを停止したいときは、いきなり電源を落してはいけません。電源を切る場合は以下のようにshutdownコマンドを実行してください。
# shutdown -h now
通常、shutdownはroot権限で行いますが、Vine Linux のデフォルトの設定では一般ユーザでも shutdown を行う事ができる様になっています。
shutdown を実行するとさまざまなメッセージが表示された後、自動電源 off 機能があるコンピュータの場合は自動的に電源が切れます。切れない場合には、『System halted.』あるいは『Power down.』『Power off.』といったメッセージが表示された後、アクセスランプなどでハードディスクが動作していないのを確認した上、電源スイッチを切ってください。
この他にも以下の方法でシステムを停止することができます。いずれの方法を使っても構いません。
# halt -p
# /sbin/telinit 0
これらの場合も自動的に電源が切れますが、切れない場合は shutdown の場合と同様に対処して下さい。
停止後すぐに再起動(reboot)したい時には、以下のようにshutdownコマンドにオプションを付けて実行します。
# shutdown -r now
この他にも以下の方法でシステムを再起動することができます。いずれの方法を使っても構いません。
# reboot
# /sbin/telinit 6
X Window 環境からのシステムの停止と再起動
ディスプレイマネージャ gdm を利用している場合は、gdm のメニューからシステムの停止や再起動が実行できます。
この場合、ログイン画面でオプションメニューのシステムをクリックし、
「コンピュータの停止」または「コンピュータの再起動」を選択後、OKをクリックするとシステムを停止または再起動できます。
デスクトップ環境 GNOME へログイン中にシステムの停止や再起動を行いたい場合は、デスクトップメニューからシャットダウンを実行し、シャットダウンや再起動をクリックすることで実行できます。
ユーザ登録
ユーザを登録するには?
Vine Linuxをインストールし、基本的な設定を終えたらユーザを登録します。rootユーザはシステム管理以外では基本的に使用しません。メールを読んだり、WWWページを見たり、プログラミングするときには一般ユーザで行います。
ユーザはユーザ名の他にユーザIDやユーザが所属するグループ、グループIDによって管理されます。ファイル/etc/passwdと/etc/groupに記述されていますので、ちょっと見てください。
/etc/passwdでは、各項目は : で区切られています。各項目の意味は下記の通りです。
ユーザ名
パスワード : 暗号化されていたり、シャドウパスワードを用いる場合はxとなっています。
ユーザID : 一般ユーザは500以上の番号が用いられます。
グループID : ユーザが属するグループIDです。/etc/groupを参照してください。
氏名 : ユーザの氏名をローマ字で入れておきます。
ホームディレクトリ : 一般に /home/user_nameに置かれます。
シェル : ユーザが利用するシェルを指定します。標準で/bin/bashです。
ユーザの登録には、useraddコマンドやUsers administration toolを用いることができます。
また、Webminを導入すれば、Webブラウザによるユーザ登録が可能です。
このマニュアルでは、useraddコマンドとUsers administration toolを用いたユーザ登録の方法を解説します。
パスワードに関する注意
パスワードには、単語や人名、誕生日、電話番号等他人が推定できるものを使用してはいけません。
銀行の暗証番号と同様に慎重に選んで下さい。小文字の他、大文字や数字を組み合わせると効果的です。
useraddによる登録
標準的なユーザの登録はuseraddコマンドで行うことができます。ユーザ名を指定して以下のように実行すると、ユーザを登録することができます。
# useradd user_name
/etc/passwdにユーザIDとユーザ名、ホームディレクトリの位置(/home/user_name)、使用するシェル(/bin/bash)が書かれます。また、/etc/groupにユーザが属するグループ(ユーザ名と同じ)が作成されます。ユーザIDや、ホームディレクトリの位置、属するグループ、使用するシェルなどを変更して登録する場合には、useraddコマンドにオプションを付けて指定することができます。詳細は man useraddで知ることができます。良く使われるオプションは以下の通りです。
-d home_dir ホームディレクトリの指定 [/home/user_name]
-g group ユーザのグループの指定
-s shell シェルの指定 [/bin/bash,/bin/tcsh,/bin/zshなど]
-u uid ユーザIDの指定 [501などの整数やグループ名]
一般ユーザのグループには users (グループID 100)も良く使われます。例えば、ユーザ vineをグループ users で登録するには以下のようにします。
# useradd -g users vine
パスワードはユーザ登録後に passwdコマンドで設定します。ユーザ vineのパスワードを設定するには以下のようにします。
# passwd vine
Changing password for user vine
New UNIX password: (パスワード)
Retype new UNIX password: (パスワードをもう一度入力する)
passwd: all authentication tokens updated successfully 完了
Users administration toolによる登録
Users administration tool を使えば、グラフィカルユーザインターフェースを利用してユーザの登録が行えます。
ツールを起動するには、デスクトップメニューから、
システム管理にあるユーザとグループを実行してください。
この際、rootユーザのパスワードを尋ねるダイアログが表示されますのでパスワードを入力してOKをクリックしてください。
ユーザを追加するには、ユーザの追加をクリックします。
詳細については、Users administration tool付属のヘルプを参照してください。
idコマンドによる、ユーザ情報の確認
id コマンドで、ユーザIDとユーザ名、グループIDとグループ名、そのほかの所属グループIDとグループ名を確認することができます。
$ id ユーザ名
ユーザ名を省略すると、自分の情報を表示します。
たとえば root であれば次のように表示されます。
$ id root
uid=0(root) gid=0(root) 所属グループ=0(root),1(bin),2(daemon),3(sys),4(adm),6(disk),10(wheel)
groupaddによるグループの作成
グループの作成にはgroupaddコマンドを利用することができます。グループ名を指定して以下のように実行すると、グループを作成することができます。
# groupadd group_name
/etc/group にグループ名や、グループIDや、属するユーザ名などが書かれます。
作成したグループは groupdelコマンドで削除できます。
補助グループへの登録
ユーザは、主グループ(プライマリグループとも呼びます、ユーザ登録時に登録したグループです)の他に、さらに複数のグループに所属することができます。
このグループを補助グループといいます。
usermodコマンドの オプションを利用することで所属する補助グループを設定できます。
# usermod -G group_name user_name
-G の後に、補助グループ名を指定します。
-G の後に、所属していないグループを指定するとそのグループに所属します。また、所属しているグループを指定しないとそのグループから除かれます。
複数の補助グループを指定するには -G groupA,groupB,groupC のように "," で区切って列挙します。
まず id コマンドで所属グループを確認します。
$ id userA
uid=505(userA) gid=100(users) 所属グループ=100(users)
userA は users という主グループに所属しています。補助グループには所属していません。
userA を A という補助グループに所属させるには次のようにします。
あらかじめ A というグループを作成しておきます。
# groupadd A
userA を A に登録します。
# usermod -G A userA
id コマンドで所属グループを確認します。
# id userA
uid=505(userA) gid=100(users) 所属グループ=100(users),508(A)
さらに他の補助グループ B にも登録するには次のようにします。
同様に グループ B も作成しておきます。
# groupadd B
すでに登録済のグループ名 A と 新しく登録する B をすべて指定します。
# usermod -G A,B userA
id コマンドで所属グループを確認します。
# id userA
uid=505(userA) gid=100(users) 所属グループ=100(users),508(A),509(B)
このとき
# usermod -G B userA
としてしまうと userA は 補助グループ B に登録されますが、補助グループ A から除かれてしまいます。
# id userA
uid=505(userA) gid=100(users) 所属グループ=100(users),509(B)
全ての補助グループから除くには、次のように '' もしくは "" を利用します。
# usermod -G '' userA
# id userA
uid=505(userA) gid=100(users) 所属グループ=100(users)
主グループだけになりました。